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序文
Designer
Ebina Masayuki
various artwork
in kyoto kizugawa
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monster of aldebaran
Less is more / Everything you need, nothing you don’t / Perfection is achieved when there is nothing to take away
それは言葉を用いるのならば蕾だ。秘められた肉のその内側。月と花を愛でた幼少より、桔梗の膨らみを割り、ユリの眠る花弁をこじ開けるのが好きだった。それらは多くのそれら以外よりも尚早に美しく花開き、そして老いていった。そうして一瞬に私の興味を失った。少女性とは秘められたものでなければいけない。花弁のその内側の、頑なで強い力に抗う雨に濡れる蕾のような。私はその蕾を開くことこそが好きなのであって、花を愛でることはしなかったのかもしれない。少女性こそを愛していたのだ。しかしながら、それらが少女性であるのならば、齢を重ねようとも内包されるべきであり、外殻などではけしてないのだ。花のその花弁ではなく、花弁のその内に秘められるものだ。だとするならば、少女性というものは、これまで、けして私の目に映ったことはないのだろう。存在を見つけることは遂にはなく、それら閉じた花弁や後姿、スカートの翻りにこそ私は少女性を垣間見るのだ。山肌の雲が強い影を落とす夏がきていた。
tumblr アルデバランの怪物より